fuwafuwa modern’s diary

個人の感想をダラダラ垂れ流すだけ

アンソロジーのすゝめ

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皆さんはアンソロジーを読んだことがあるでしょうか。アンソロジーとは、いくつかの作品をひとつのテーマの元にまとめたものを言います。 大体何人かの作家さんにあるテーマを元に書いてもらいます。今回ここで指すアンソロジーはコミックアンソロジーとします。

画像にある作品は社会人百合アンソロジー「syrup」です。この作品には14人の作家さんとカバーの作家さんが参加されており、合計15人の作家さんが関わった大作になっています。本作に寄稿されている作家さんで有名な方を挙げますと”捏造トラップ”のコダマナオコ先生。カバーを担当されている”色づく世界の明日から”のイラストで有名なフライ先生などです。他にも大勢いらっしゃいますが、今回は割愛させていただきます。
アンソロジーは1つのテーマの元、何人もの作家さんがテーマに沿った作品を描きます。このsyrupは社会人百合がテーマですから、働く女性がメインのお話が全てです。他の文学に比べてアンソロジーは自分なお話だけがじっくり詰まっているので最後まで飽きずに楽しめるわけです。読み手の皆さんが好きなジャンル。例えば戦闘だったり、スポーツだったり、いろいろあると思います。アンソロジーを選ぶことによって自分が好きなジャンルをひたすら楽しむ事ができるのです。
先程言いましたとおり、何人もの作家さんが描かれています。という事は人それぞれ個性があるので、同じテーマでも作品によって特徴や個性が出てきます。「この作家さんの絵好きだなぁ!」という事もあれば、「うーん、なんかイラストタッチがイマイチだなぁ」と感じる事もあります。逆に「この人は絵のタッチはイマイチだけどシナリオが面白い!」というパターンもあります。少々邪道ですが、自分が好きな作家さんの作品だけを読むのもアリです。

そして、私が考えるアンソロジーの醍醐味は「感じ方は人それぞれ」です。例えば小説家、百田尚樹さん作の”海賊とよばれた男”や”永遠の0”を読んだとしましょう。多くの人が「感動した!日本人の底力に震えた!先人に感謝したい」という感想を持つはずです。これは1つの作品にちゃんとした始まりと終わりがあり、キャラクターそれぞれに個性や詳細な設定が付けられているからです。この人間はこういう性格で、これが得意で、こういう生い立ちがある。だから皆さん感じる事は大体同じで、似たような感想を持つわけです。それに対してアンソロジーは1人の作家さんが担当するページは5ページや10ページそこらです。この中にシーンの雰囲気や登場人物全ての詳細な設定を詰め込む事は出来ません。大体の場合、細かい設定は端折られます。つまり「このキャラクターはこんな人間で、こういう性格で、こんな生い立ちなんだ」と思うのは読み手の皆さんそれぞれの感じ方次第なのです。
人それぞれ感じ方や捉え方が違うので、感想も人の数だけあるのです。物語の流れをABC~で例えます。始まりをAとして、中をD、終わりをGとしましょう。アンソロジーでは少ないページの中に内容を詰め込むので、作中出てくるシーンはDからE程度。キッチリした終わりはないので、その後どうなったか個人的に予測してみるのも楽しいし、逆に始まりを予測してみるのも楽しいです。作品がどうなるかは読み手の皆さんの感性次第。読みが浅い人も深い人も、それぞれ感じ方は違うので一概に正解はありません。人それぞれの正解がある。つまりアンソロジーを作り上げるのは、作家さんと”あなた”なのです。

今回、私がこのsyrupというアンソロジーを読んだきっかけは、本作カバーを私が尊敬してやまず大好きなフライ先生が描かれていたからです。その結果14人もの作家さんを知り、14のストーリーを楽しめました。短時間で様々な作風を味わえるのは極めて有意義で、心の栄養となります。次、別のアンソロジーを読んだ時「この絵見たことあるなぁ~、この作家さんどこかで見た名前だなぁ」と思う事もあるでしょう。その時どのようなストーリーを作り上げ、どう自分なりに解釈するかが楽しみで仕方ありません。皆さんも一度アンソロジーを手に取ってみてはいかがでしょうか。