fuwafuwa modern’s diary

個人の感想をダラダラ垂れ流すだけ

極地の探求

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10月5日、6日にかけて、名古屋港にて南極観測船(砕氷船)”しらせ”が一般公開・展示されている。南極観測船は日本に1隻しかない貴重な艦船だ。現在就役しているしらせは平成20年の4月に進水した。文部科学省により建造費が支出され、保守運用は海上自衛隊が行っている。昨今では「宇宙よりも遠い場所」というアニメが公開され、一般層にも広く知れ渡っている。今回筆者は知人の自衛官のコネで特別公開枠を手にすることが出来たので、一般公開で参加された方では見られない所も紹介しよう。

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南極観測船しらせは文字通り南極へ研究員や観測隊を輸送する艦船である。最大速力19ノット(時速約38キロ)、輸送能力は観測隊員約80人と輸送物資1100トンである。通常の艦船と違うのは、砕氷できる点である。南極では、分厚い氷が艦船の行く手を阻む。通常の艦船では氷に阻まれ立ち往生してしまう。しかし、しらせは氷に乗り上げ自重で氷を砕き前進できるのだ。
筆者はいくつもの海上自衛隊の艦船に乗艦しているが、しらせは極めて異質なものだった。というのも、海上自衛隊は戦闘艦(駆逐艦イージス艦・潜水艦等)を数多く保有している。その全てが狭く、極めて効率的な設計になっている。しらせは食堂も大きく、後部の飛行甲板や格納庫もかなり大きい。人も余裕ですれ違うことができるほど廊下にスペースがある。そして筆者が1番驚いたのが艦橋の広さだ。通常海上自衛隊の戦闘艦の艦橋は狭く、様々な機器が設置されている。しかし、しらせはまるで空き店舗のようにスカスカで広かったのだ。操舵輪やレーダー画面がポツンぽつんと置かれている状態だ。f:id:fuwafuwamodern:20191005175555j:plain
しらせは戦闘をしないので、余裕のある作りなんだろう。それは艦橋以外にも表れていた。いざ戦闘になった時、負傷者が多くでそうな戦闘艦より医療スペースが確保されていたのだ。駆逐艦等では准看の資格を持った自衛官が乗船している。医療施設は簡易的なものであり、大規模な手術はできない。しかししらせでは、内科医と外科医、そしてしらせに常駐する医療資格を持った自衛官がいる。本格的な外科手術もできるようなベッドもあり、病院に置かれるような大きな機器もある。観測隊や自衛官の為に歯科もあるくらいだ。f:id:fuwafuwamodern:20191005180027j:plain

南極とは極地で、生命の危険もある。そのため、しらせに乗艦する自衛官には手当が出ることになっている。南極に近くなると、1日あたり約1000円程の南極手当がつくのだ。決して多くはないが、南極に行けるのは魅力的だ。筆者はしらせの乗組員に聞いたが、しらせへ乗るのは狭き門らしい。しらせは1隻しかない為、希望しても1部の人間しかなれない。「宇宙よりも遠い場所」というアニメがある。これは南極に行きたい女子高生達の物語である。彼女達のように志ある人間が行くべき土地だと筆者は思っている。笑いあり涙ありの良作なのでぜひ見て欲しい。